全日本学童大会

【細かすぎて伝わる特ダネ❽】下剋上あり!? 5チーム&指揮官コメントから最終展望

【細かすぎて伝わる特ダネ❽】下剋上あり!?...

2023.08.05

 本日8月5日、16時30分――。明治神宮野球場での開会式を前にした『細かすぎる特ダネ』は最終の第8弾です。全日本学童は、47都道府県の王者によるチャンピオンシップ大会。どのチームも相応の実力があるのは当然で、初顔や久方ぶりの出場から初優勝も過去にないわけではありません。では、一気に天下獲り! もありそうな5チームを紹介して開幕を待つとしましょう。 (写真&文=大久保克哉) ⇩クリックで拡大 ※背景黄色=第1集団(特ダネ➍参照)、背景紫=第2集団(特ダネ❻参照)   過去の初出場初V  直近の初出場初優勝は、9年前の2014年。愛媛県の和気(わけ)軟式野球クラブが達成している。『強いヤツを倒せ!』のキャッチフレーズの下、底抜けに明るい指揮官に導かれたメンバーは、わずか12人。結果、6年生9人で戦い抜いた6試合は、お決まりのようにガマン比べからの逆転劇…。残念ながら、同チームは翌年8月をもって活動に終止符を打ってしまった。 2013年は初出場の兵庫・曽根青龍野球部が優勝。当時は全国に13291チームあった  ちょうど10年前の2013年も、兵庫県の曽根青龍野球部が初出場初優勝。スタメンの5人が5年生というチビッコ軍団が展開した、緻密な『攻める守り』が印象的だった。 前哨戦での偉業と良薬  さて、今夏だ。まずは最新の動向から。  地域やチームによっては「前哨戦」と位置付けている和歌山・高野山旗大会が8月1日、新家スターズ(大阪)の優勝で閉幕。これによって、新家は練習試合を含めて「1年間負けなし」という、とんでもない偉業を引っ提げて6日の1回戦から登場する。代は1つ上になるが、最後に負けたのは昨夏の全日本学童準決勝ということになる。 昨夏は4強まで進出した大阪・新家スターズ(写真は当時)。大会以降、負けなしでまた神宮に戻ってくる  この猛烈な不敗軍団と3回戦で対戦する可能性がある、富山代表の比美乃江稲積JBOYS(富山)も、高野山旗とは深い縁がある。合併6年目の昨年は、県予選準優勝で全国初出場はならず、高野山旗へ。そこでベスト4まで進出したものの、準決勝で大阪・長曽根ストロングス(昨年は全国準V)に0対19という屈辱的な大敗を喫した。 「上には上がいると、今の6年生8人も肌で感じたと思います。ああいうレベルになろう! と1年間がんばってきましたから」(東軒宏彰監督) ひみのえいなづみ 比美乃江稲積JBOYS [富山] 初出場 7月23日、壮行試合を行った福井代表・越前ニューヒーローズと記念の一枚  今年の県予選決勝は24対2など、抜かりのない圧勝が多かったのは、昨夏の良薬のせいもあるだろう。6年生たちには、2年前にティーボール大会で全国優勝という実績もある。 「小さい子ばかりですが、ライナーを打ってつないでいく打線。ピッチャーは本格派に技巧派もいます。子どもたちは初めての全国ですけど、去年の高野山旗を思えば、どのチームが相手でも怖くない。一戦一戦、大事にいきたいと思います」(東軒監督)  雪国のハンディをともに負っているからだろうか、北陸方面は横のつながりも深い。高野山旗開幕の前週には、福井代表の越前ニューヒーローズと壮行試合をしたという。 「去年の中条(ブルーインパルス・石川)さんの優勝もうれしかったし、私のモチベーションにもなっています。去年も試合をさせてもらいましたので」  東軒監督は2012年に前身の稲積少年会野球部を率いて、全日本学童3回戦まで進出。このときの負けた相手が隣県・福井の鳥羽野球部(17年ぶり2回目の出場)で、そのまま大会を勝ち抜いて初優勝を遂げている。 和歌山から実りの帰京...

【細かすぎて伝わる特ダネ❼】6年生投手★注目11戦士+α

【細かすぎて伝わる特ダネ❼】6年生投手★注...

2023.08.04

 3月に本格稼働した『学童野球メディア』では、2023年度の6年生と4年生から「注目戦士」をこれまでに23人紹介してきました。このうち11人の6年生投手が全日本学童出場を決めています。開幕直前のこのタイミングで、最新の情報や新規の動画も追加しつつ、おさらいをしていきます。 (動画&写真&文=大久保克哉)  先にお断りをしておこう。減っているとはいえ、学童野球チームは全国に1万近くある。これから紹介する12人以外にも、「未来モンスター」と呼びたくなるような逸材は各地にゴロゴロといるはず。あす5日に開幕する全日本学童大会もそれは同じ。当メディアは47都道府県をカバーできておらず、首都圏中心の情報になることをご容赦いただきたい。  それを踏まえても、世代屈指とも呼べるほどの「怪物クラス」の本格派投手が左右で1枚ずついる。レッドサンズの藤森一生と、船橋フェニックスの原悠翔だ。奇しくも、ともに東京でプレーする2人は球速だけでも全国トップクラスにある。左腕の藤森は東京予選の決勝に先発して最速120km、右腕の原は同日の3位決定戦で118㎞をそれぞれマーク(球場表示)した。 ⇧レッドサンズ・藤森一生(紹介記事→こちら) ⇩船橋フェニックス・原悠翔(紹介記事→こちら)  またその日の投球が対照的だった。前週の準決勝の勝利で全国出場(※東京は3枠)を決めていた藤森のほうは、自らの限界に挑むかのように序盤から豪速球で押しまくった。初回に投じた12球のうち、スローボールは2球のみ。一方の原のほうは、3位決定戦を落とせば全国の道が閉ざされるとあってか、要所では豪速球で勝負しつつ、投球フォームのリズムと球速に幅をもたせて、慎重にアウトを重ねていった。  チーム同士の直接対決(予選準決勝)はあるが、藤森と原が先発で投げ合ったわけではない(11対1でレッドサンズが勝利)。それでも互いを認知しており、多少は会話もしたことがあるという。「全国では藤森クンに負けないようなピッチングをしていきたいです」と、原は闘志満々。対する藤森は「お互いに東京のエースとして、同じ学年の野球選手として、ライバル心をもってやっていきたいですね」。やや大人びた発言は勝者の余裕ではない。そういう真摯な人間性も育まれていることを、周囲も取材陣も知っている。なお、原が熱望する直接対決が全国で実現するとなると、決勝戦になる。 ⇧八日市場中央スポーツ少年団・富永孝太郎(紹介記事→こちら) ⇩館野学童野球クラブ・山本愛葉(紹介記事→こちら)  本格派の中でも、コントロールが出色なのが八日市場中央スポーツ少年団(千葉)の右腕、富永孝太郎だ。全国8強の実績もある磯辺シャークスの強打と待球作戦をものともしなかった県予選決勝の快投が記憶に新しい(→こちら)。  館野学童野球クラブ(石川)の紅一点、山本愛葉と茎崎ファイターズ(茨城)の中根裕貴も、抜群の制球力を誇るサウスポー。山本は緩急と左右高低への投げ分けで県決勝では先発して4回無失点の好投。地元の石川県では7月末にガールズトーナメントが開催されたが、山本は仲間との練習に明け暮れたという。  全国大会に出てくるエースは、低学年から投打の軸というケースが圧倒的に多い。他方、4年生の終わりに名門に入った中根は目立たぬ存在。しかし、自主練習を重ねて、この最終学年で文句なしのエースとなった気概の塊だ。 ⇧茎崎ファイターズ・中根裕貴(紹介記事→こちら) ⇩簗瀬スポーツ・郡司啓(紹介記事→こちら)  冒頭の藤森と原は、打者としても一発を量産する「怪物クラス」だが、より多彩なのは簗瀬スポーツ(栃木)の郡司啓だ。右にも左にも本塁打したかと思えば、三塁線へのセーフティバントから二盗、三盗。左腕にして遊撃も平然と守る。ある意味、フィールドでやりたい放題をしてチームを盛り立てる。  北名古屋ドリームス(愛知)の右腕・境翔太も、高い身体能力と汎用性を誇る。幼児からチームに入り、遊撃手一筋できていた。そして最上級生から本格的に捕手に投手にと、プレーの幅と可能性を大いに広げている。 ⇧北名古屋ドリームス・境翔太(紹介記事→こちら) ⇩泉ホワイトイーグルス・髙橋隼太(紹介記事→こちら)  きれいなフォーシームを投じるのは、泉ホワイトイーグルスの右腕、髙橋隼太だ。埼玉予選で、地域選抜チームの並居る強打者たちを空転させてきた要因は、よく伸びる速球にあったようだ。「しっかりと2本の指を縫い目に引っ掛けて、バックスピンが掛かるようにリリースしています」。  4年生から3年連続で、全国大会初戦の先発マウンドに。多賀少年野球クラブ(滋賀)の筒井遙大は今夏、おそらくは前代未聞の偉業を遂げるだろう。今やチームと指揮官の知名度は「学童野球」の枠を超えているが、この右腕の伸びるボールとサク越え連発のパンチ力も広く知られてきている。 ⇧多賀少年野球クラブ・筒井遙大(紹介記事→こちら) ⇩越前ニューヒーローズ・中橋大地(紹介記事→こちら)  越前ニューヒーローズ(福井)の中橋大地はハイレベルな投打二刀流でいて、1年前の全国から「打撃」で注目されてきた。昨夏は全国8強入りを決める逆転の決勝3ラン。今年5月からの県予選では、先発投手として新境地を開拓したという。来たる全国では1年分の進化の跡も見られそうだ。  あえて「守備」にも着目したいのは不敗軍団、新家スターズの右腕、貴志奏斗だ。理由は紹介記事をご一読いただきたいが、1年前の全国の三塁守備で目に見えぬ大傷を負った。だがそれをバネに、チームを主将として引っ張り、とうとう1年間無敗のまま全国へ。難関の大阪予選を制したときには、安堵と喜びのあまり涙が出たという。「めっちゃうれしかったです! 今年は自分らの代やから、去年より緊張します。でも、やる気とこれまでの練習量を自信にして、全国でも最後まで勝ち抜きます」。チームとご両親の協力で最新のプレー動画を追加しているので、こちらもぜひ! ⇧新家スターズ・貴志奏斗(紹介記事★動画追加→こちら)...

【細かすぎて伝わる特ダネ❻】頂に肉薄!第二集団7チーム&指揮官コメントから大展望

【細かすぎて伝わる特ダネ❻】頂に肉薄!第二...

2023.08.03

 高円宮賜杯第43回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント(以下、全日本学童)の開幕まで、あと2日。特ダネの第6弾は、全国スポーツ少年団軟式野球交流大会を含む2大大会の過去の上位進出組のうち、7チームに焦点を当てて展望します。  (写真&文=大久保克哉) ⇩クリックで拡大 ※背景黄色=第1集団(特ダネ➍参照)、背景紫=第2集団 今夏こそ白黒はっきり  特ダネ第4弾でお伝えした、過去の日本一6チームを先頭集団とするなら、追走する第2集団はどういう顔ぶれになるだろうか――。  そういう視点に立って、全国ベスト8以上の実績がある中から、編集部の独断で7チームをピックアップさせていただいた。今大会で初戴冠しても何ら不思議はない、実力派ばかり。  中でも、「前例にない思い」で開会式の神宮球場に戻ってくるのは、福井代表の越前ニューヒーローズだ。2大会を通じて初めての全国で8強入りした昨夏のミラクルと悲劇は、既報の通り(チーム紹介→こちら)。 えちぜん 越前ニューヒーローズ [福井/2018年創立] 出場=2年連続2回目 最高成績=ベスト8/2022年※初出場 【全国スポ少交流】 出場=なし 昨夏は準々決勝を戦わずして無念の帰郷。卒団した2人(中1)の分も背負って、2年連続の全日本学童出場を決めた 「(コロナ感染で途中棄権した)去年の分も勝ち負けをハッキリつけんと。2年連続の全国で期待される部分もあるし、去年以上の成績をという思いもあります。私の仕事は、自分らの力を全部出させるように持っていくこと」と田中智行監督。  メンバーは昨年と同じく15人で、正捕手の山本颯真主将に中橋開地と米津翔夢の左右大砲と、看板役者がそろう。この1年は県外の全国区の強豪とも数多く手合わせしており、昨夏Vの中条ブルーインパルス(石川)にも打ち勝ったという。 「ありがたいことに、去年の大会前も中条さん多賀(少年野球クラブ・滋賀)さんとやらせていただいたり。でも、今年は組み合わせが…」(同監督)  1回戦で勝利した場合に待ち受ける相手が中条に。実は組み合わせが決まった7月19日の4日後に、両チームで壮行試合を予定していたが、さすがにキャンセルで合意したという。 「子どもらは2回戦を楽しみにしているようです。中条さんがいかに強いか、分かっているので。私も楽しみは楽しみですけど、まずは1回戦。しっかりと大会に入っていきたいと思います」  ベンチでは静観が基本の指揮官は、いつでも広い視野をもって物事を判断されるようだ。戦わずして夢舞台を去った昨夏を思えば、いかなる強敵も怖くあるまい。2回戦突破となれば、そのまま駆け上がるかもしれない。  複雑な境地から1年  三重代表の揥水少年野球団は、2大会をまたいだ「2年連続出場」となる。昨夏は全国スポ少交流で4強入り。  こちらも1年前は複雑な境地にあった。小針ヤンキーズ(埼玉)との準々決勝はゲリラ豪雨により、3回途中で順延に。揥水は0対6とリードされていたが、翌日は相手にコロナ感染者が出たことで不戦勝となった。 ていすい...

【細かすぎて伝わる特ダネ❺】20年ぶり2回目出場・埼玉代表の横顔

【細かすぎて伝わる特ダネ❺】20年ぶり2回...

2023.08.01

 地域選抜チームが7割方を占める埼玉予選を勝ち抜いたのは、所沢市で創部30周年となる単独チーム、泉ホワイトイーグルスだった。全日本学童は初戦突破した2003年以来、20年ぶり2回目の出場。昨秋の県新人戦も制した今の代には、エースで四番で主将の大黒柱がいるが、選抜チームは大半がそういうタレントの集団だ。ではなぜ、ことごとく打破できたのか。本番に向けて、週末の練習に励むチームを訪ねた。 (写真&文=大久保克哉) 当たり前を当たり前に。シンプルに己に徹し切る強さ 【埼玉大会Vへの軌跡】 2回戦 〇7対0幸手スターズ※ 3回戦 〇17対0オール狭山※ 準々決勝〇7対0三郷クラブ※ 準優勝 〇7対6西埼玉少年野球 決 勝 〇11対1大宮クラブ※ ※地域選抜チーム 「野球でまず楽しいのは打つこと」。就任から12年、井上監督は選手主体の打撃のチームを追求し続けている  一枚の全国切符をかけた県決勝。相手の選抜チーム・大宮クラブは2回戦で20得点など、猛打で鳴らしていた。いざ、ふたを開けてみれば、毎回得点の5回コールドというワンサイドで王者に輝いたのは、31年の歴史をもつ泉ホワイトイーグルスだった。  先発のエース右腕・髙橋隼太主将が1回表を無失点で上々に立ち上がるとその裏、敵失絡みで2点を先取する。すぐさま1点を返されたものの、2回裏には適時内野安打などで6対1とリードを広げる。これで完全に主導権を奪い、エースは3回からまた無失点で完投。火がついた打線は三番・金子聖昌の2ランなど計12安打で11得点をあげた。 ※⇩秀逸キャプテンの紹介→→こちら エースで四番の髙橋主将。「向かっていく気持ちはそのままに、やれることを冷静にできるようになった」と、指揮官も高評価 「ウチの髙橋がよく投げて、相手の好投手から先制点を奪えたのが大きかったですね。あとはもう、みんなよく打ちました」  こう振り返った井上貴徳監督によると、県大会の最大のポイントは唯一、単独チーム同士で戦った準決勝だったという。同日の準々決勝に続くダブルヘッダーの2試合目。相手の西埼玉少年野球は、昨年末のポップアスリートカップ全国ファイナルに出場など、ここ数年の躍進が目覚ましい。 「西埼玉さんはよく練習試合もやるチームなので、やりにくかったですね。お互いにエラー絡みで失点した中で、なんとか逆転勝ちさせてもらいました」  先発のマウンドに立った左腕・金子が「守備がヤバかった。あまり振り返りたくないです」と語るほど、序盤に手痛い守りのミスが続いて劣勢に。既定の試合時間(90分)のリミットが迫る中、5回裏の攻撃を迎えた時点でスコアは1対6。この土壇場で打線が下位から一気につながり、五番・和田皇毅の同点3ランなど7対6と大逆転に成功。そしてこの猛攻の終了をもって、試合はタイムアップとなった。 20人のタレント軍を打破  チームの活動は週末のみ。メンバー構成は6年生10人、5年生4人、4年生と3年生が各7人。決して大所帯ではない。それでも至難の大会をぶっちぎりで制した理由は何か? 「みんなが勝ちたい気持ちで一つになれました。ピッチャーがピンチで抑えると、打線が下位からでもつないでいってくれる」(髙橋主将) 「(対戦)相手のことは、いつも関係ないと思っているので」(金子) 「たくさん打ったこと」(和田) 「みんながつなぐ意識で打席に立てたこと」(笠原呼人二塁手) 「自分のできることをするだけなので」(肥田野拓人捕手)...

【細かすぎて伝わる特ダネ➍】V本命!? 過去の日本一6チーム&監督コメントから大展望

【細かすぎて伝わる特ダネ➍】V本命!? 過...

2023.07.27

 高円宮賜杯第43回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント(以下、全日本学童)の開幕まで残り10日。特ダネの第4弾は、全国スポーツ少年団軟式野球交流大会(以下、全国スポ少交流)を含む2大全国大会で優勝実績のある6チームと各指揮官のコメントから夢舞台を展望します。 (写真&文=大久保克哉) ⇩クリックで拡大  きた ■北ナニワハヤテタイガース [兵庫/1965年創立] 出場=6年ぶり3回目 優勝=1988年※初出場 【全国スポ少交流】 出場=3回 優勝=1回/1988年 酷暑&強行軍ゆえに  負けたら終わりの真夏のサバイバル。毎年のことながら、51チームの組み合わせが入ったトーナメント表は壮観で、思わず時を忘れて見入ってしまう。  今大会の大きな特長のひとつは、過去に日本一に輝いている6チームが程よく散っている点だ。それぞれ順調に勝ち上がったと仮定して、最初の顔合わせは3回戦で1試合。翌日の準々決勝で1試合、残る2チームは準決勝で対峙することになる。 まだコロナ禍だった昨年は試合中もベンチの指導陣はマスクを着用、閉会式では全員が着用していた  もちろん、そんな容易に事が運ばないことは、40年超の大会史が証明している。とはいえ、夢舞台で最後まで勝ち切った経験が、大きなアドバンテージとなっているのは間違いないだろう。  複数会場で6日間のうちに50試合を消化する全日本学童はとりわけ、初出場組に戸惑いやストレスが生じやすい。1回戦からなら6連戦、2回戦からでも5連戦という強行軍。首都圏以外のチームは宿泊を伴う遠征となり、酷暑に加えての慣れない移動に衣食住で疲労がたまりやすい側面もある。 老舗の金字塔  過去の日本一6チームの中でも随一の老舗、1965年創立の北ナニワハヤテタイガース(兵庫)の「金字塔」をご存知だろうか。  昭和最後の1988年夏に初出場初優勝。さらに全国スポ少交流も優勝と、二冠に輝いているのだ。現在は2大会の同一年同時エントリーはできないシステムだが、10数年前までは禁じるルールもなかった。許された(黙認されていた)その約30年の間に両大会制覇を果たしたのは、北ナニワと前年87年の亀川野球スポーツ少年団(大分)のみ。しかも、全日本学童は47都道府県の王者が参加する現行のシステムとなったのが88年(前年までの出場枠は主に16~27)だから、北ナニワの偉業は「金字塔」と言っていいだろう。  創設者にして現在も現場で指揮を執る石橋孝志監督は、1950年生まれの73歳。2017年には29年ぶりの全日本学童で準優勝までチームを導いている。以来、6年ぶりの出場を決めた今年は「別にコレという特長のあるチームではないな。逆にバランスがとれていて何でもできる」と語る。激戦区の兵庫大会は全6試合の半分が完封勝ち。準決勝からは接戦をものにしてきた。 「6年生が10人おって、エースでキャプテンの森岡雄飛が右の本格派で大きな柱。全国に出る以上は優勝したいと思うてますし、選手も優勝したいと言ってます。でも、今は昔と違って情報もいろいろあるし、今年は新家さんが行くのと違いますかね」  しんげ ■新家スターズ [大阪/1979年創立] 出場=2年連続3回目...

【細かすぎて伝わる特ダネ❸】注目の6年生捕手

【細かすぎて伝わる特ダネ❸】注目の6年生捕手

2023.07.18

 野球はとかく投手に目が行きがち。それが学童野球になると、捕手の優劣で明暗が分かれることがままある。エースが怪物級のボールを投じたとしても、それを確実に捕る・止める捕手がいなければ、まともなゲームにならないからだ。『細かすぎて伝わる特ダネ』の第3弾は、既出を含めて8月の夢舞台で輝きを増すだろう捕手たちにスポットを充てた。 (動画&写真&文=大久保克哉)  全国大会ともなれば、相手走者を簡単に進塁させるような捕手はほぼいなくなる。逆に言えば、ほぼ無条件に相手に次塁を与えてしまうようなチームは、自ずと予選で消えていくのだ。  概ね平均点以上の捕手。そういう大前提の上で、真っ先に取り上げたいのは昨夏の胴上げ捕手、中条ブルーインパルス(石川)の向慶士郎主将だ。1年前は5年生にして、堅実なキャッチングとブロッキングで目を引いた。リード面も任されており、3回戦ではピカイチ右腕の服部成(星稜中1年)と完全試合の偉業も達成している。  打球に対する反応と、動き出しの鋭さは随一。動物的なその瞬発力とスピードは、攻撃面でも大きな武器となっている。昨年は全国予選で左打席から打ちまくった。新チームで主将となってから一時期は打撃の調子を崩していたが、7月に倉知幸生監督に近況を尋ねると「春以降はかなり調子が上向きで、逆方向の左中間のサク越え(70m)も普通に出ています」との返答。全国大会ではダイヤモンドを疾走する姿も見られそうだ。 向慶士郎(中条ブルーインパルス※紹介は→こちら)  同じくサク越えアーチが期待できそうな左打者は、同じ石川県の館野野学童野球クラブ、中村颯真だ。ヤクルト・村上宗隆をコンパクトにしたような風貌と同様のルーティン。「ツボにはまると大人の打球」と山本義明監督が評するように、芯でとらえたときの打球速度はハンパない。通算で2ケタの本塁打をマークしているというのもうなづける。  また、コースの左右高低にテンポも交えた配球で投手陣を好リードし、県大会では4試合で4失点。打者としての心理や読みがディフェンス面にも生きているようだ。 中村颯真(館野学童野球クラブ※紹介は→こちら)  勝負強い打撃を売りとするのは、常磐軟式野球スポーツ少年団(福島)の本多希光だ。全国最多出場記録を保持する同チームの伝統のカラーは「守備と走塁」だが、今年は打力も秀でている。その強力打線で四番を張る本多は、短く持ったバットで機に応じて打ち分けるポイントゲッター。昨夏は5年生で全日本学童に出場、神宮球場でタイムリー二塁打を放っている点も心強い。  夏場に来てスローイング面が明らかに向上しており、二塁へはコンパクトな動作から強いボールをコンスタントに投じている。堅守のカギも握る扇の要だ。 本多希光(常磐軟式野球スポーツ少年団※紹介は→こちら)    全国経験者と言えば、昨夏8強の越前ニューヒーローズ(福井)の山本颯真主将だ。こちらは攻守走すべてハイレベルの万能捕手。県予選では2本塁打を放っている。  昨夏の全日本学童は2試合で6打数4安打4打点で三塁打2本。三盗も決めているほか、小飛球も好捕するなど、身体能力は中条・向にもひけをとらない。チーム内のコロナ感染で準々決勝を戦えなかった1年前の分も、今夏は東京で大暴れしてくれそうだ。 山本颯真(越前ニューヒーローズ※チーム紹介は→こちら)  身体能力に長ける万能型と言えば、北名古屋ドリームス(愛知)の境翔太主将も外せない一人。バットヘッドが猛烈に走るスイングは、投球のコースや緩急で変わることがなく、痛烈な打球を弾き返す。そして塁に出れば、学校1位の脚力の見せ場となる。  5年生までは遊撃手一筋。チーム事情もあって捕手に転じてからも、精力的な努力で基礎スキルをマスターし、新境地を開拓している点も見逃せない。 境翔太(北名古屋ドリームス※紹介は→こちら)  捕手の基礎スキルをガッツリと携えているのは八日市場中央スポーツ少年団の伊藤瑠生だ。捕手出身の宇野貴雄監督と富永孝コーチの目に留まったのが、三盗の練習中に捕手役を務めていた当時4年生の伊藤だという。以降は2人の薫陶を受けて、今では大人をうならせるほどのキャッチングを披露する。理知的なマスクに、トレードマークのメガネがまたよく似合う。 伊藤瑠生(八日市場中央スポーツ少年団※紹介は→こちら)    学童野球メディアで追い切れていないが、上記の6人以外にも全国大会では捕手の有望株が多数いるはず。小学生でも指導と努力次第でここまでできるのだ、というところを存分に見せてくれることだろう。  東京V2王者・レッドサンズの増田球太(写真下)と、初出場・簗瀬スポーツ(栃木)の半田蒼真主将は、ともに三番・捕手で攻守に頼れる逸材。また遊撃手がメインだが、捕手も無難にこなす不動パイレーツ(東京)の小原快斗は打力に著しく長けており、「2023注目戦士」で追って紹介する予定だ。 

【細かすぎて伝わる特ダネ❷】初出場・千葉代表の横顔

【細かすぎて伝わる特ダネ❷】初出場・千葉代...

2023.07.12

 バッテリーと三遊間と右翼は6年生で、残る4つのポジションは5年生と4年生で等分。登録メンバーの5人は3年生以下で、実質的には13人で夏の全国2大大会の千葉県予選をそれぞれ制覇してみせた。八日市場中央スポーツ少年団の持ち味は、バッテリーを中心とする堅守と勝負強さ。これらを引き出す指揮官の手法にも特筆するべきものがあった。なお、全日本学童大会マクドナルド・トーナメントに初出場するため、16日の全国スポーツ少年団交流大会の関東大会(最終予選)は出場を辞退している。 ※秀逸バッテリーの紹介→こちら (写真&文=大久保克哉) スタメン4人は下級生。普段着野球でスポ少も県制覇 全日本学童千葉大会優勝時の6年生は5人。左から富永孝太郎主将、田中功明、伊藤瑠生、石井陽向、宇井貴浩 「夢のような2週間でした」  宇野貴雄監督はこう振り返ったが、選手も保護者も思いは同じであったことだろう。ほぼ同時期に並行して開催されてきた、全国2大大会の県予選をそれぞれ制したのである。 2週間で5戦の強行軍  まずは6月10日、全日本学童予選の県決勝で磯辺シャークスに1対0の勝利で初優勝。守備は学年やポジションを問わず、一様に堅くて勝負どころでミスがなかった。打線は力強い上位に、しぶとい下位がつないでいった。「しっかり守って、得点チャンスでしっかり取るという野球。ふだん言っていること、これまでにやってきたことを、子どもたちがそれ以上にやってくれたという感じ。もう何も言うことないですね」(宇野監督)。 県大会では随所で好守を披露した右翼手・田中。「全国大会でもみんなで守って、打線はつないで、どんどん勝ち進んでいきたいと思います」  創部21年目にして初めて手にした全国切符の興奮も冷めやらぬうちに、会場を移動しての全国スポ少交流予選の県3回戦に(3対0で勝利)。そして翌週末の土曜に準々決勝、翌日曜には準決勝と決勝のダブルヘッダーも勝ち抜いて、2つめの金メダルに輝いた。主将の富永孝太郎は、未知の全国大会をうれしそうにイメージしながら、抱負をこう語っている。 「なんか甲子園(高校野球)みたいな感じで、そこに出られるというのは全国の中でもトップのほうに入っているんだ、ということだと思います。全国でも良い結果を残していきたいです」  2週間のうちに2大会の大詰め計5試合という強行軍。これを実質13人の手勢で勝ち切ったことに加えて、1日2試合目となった決勝(県スポ少)の16対3という圧勝劇は、真夏の全国大会を踏まえても大きな自信の拠り所になるだろう。 コーチから監督となって11年目、チームを初めての全国大会に導いた宇野監督。冷静沈着な言動は選手の模範にもなっているようだ  8月5日に東京・神宮球場で開会する全日本学童大会は、翌6日から最多6連戦となる。酷暑の中で例年、持てる力を発揮できるのは序盤の2回戦あたりまで。3連戦となる3回戦以降は、投手の枚数と能力に加え、心身の持久力の差で明暗が分かれるケースも増えてくる。 「ここで勝つために子どもたちも頑張って来て、自信を持って送り出しているので、私から言うことは何もないです。子どもたちを信用しています」  県大会の最中で宇野監督がそう話していたように、大一番でそれぞれ緊張している選手たちに指導陣がプレッシャーを上塗りするようなことがない。目の前の結果で一喜一憂しないし、観客までハラハラするようなシーソーゲームでも背番号30はベンチの奥で静かに仁王立ちしたまま。そしてフィールドの選手たちは、自ら守備のタイムをとってマウンドに集まるなど、主体的に野球をしている姿が見受けられる。 ⇧安定した三塁守備の石井は、マウンド度胸も満点。「ボール係とか頑張ってくれる人たちの思いも胸に、全国ではみんなで一丸となって戦います」⇩遊撃手・宇井は堅実な上に守備範囲も広い。「全国はまず初戦を大事に勝ってから。個人的にはヒットをいっぱい打ちたいです」 独特のウォームアップ 「練習は厳しい」と選手は口をそろえるが、本番(公式戦)では大人からストレスをやたらに与えられることがない。要するに、精神面から疲弊して自滅していくような心配はないだろう。  相手がどうのこうのではない。自分たちが突き詰めてきたことをそのまま発揮すれば勝てる。6年生からはこういうコメントが複数聞かれたが、“ゴーイング・マイウェイ”は指揮官が率先しているように見受けられた。  たとえば、全国8強の実績もある磯辺シャークスとの決勝。背中に「30」と入った上着に宇野監督が袖を通したのは、試合前シートノックの直前。それまではTシャツ姿で選手たちのウォーミングアップを遠巻きに眺めていた。その意図とは? 「グラウンドに入ったときから、勝負は始まっているなと思ったんですよ。シャークスさんは格上ですし、声を出してボールもバンバン投げていました。ウチは集合場所で体を動かしてきたこともあるんですけど、あえて焦らずに。いつも通りに自分たちのアップをすればいい、と。そういう狙いでユニフォーム(上着)も着ずにいました」(宇野監督) 対戦相手も学年も関係ない。個々でやるべきことに取り組んでいたウォーミングアップ  ウォーミングアップがまた独特だった。よく見る軍隊方式のものではない。外野の芝の上に散った選手たちは各々に手足を動かしながら進んだり、走ったり、戻ったり。それも160㎝超の富永主将から、背番号17の1年生・嶋根蓮人まで例外なく。また、一団の近くには大人の目や声はもちろん、姿すらもなかった。 「アップの内容や方法はコーチ陣からも提案があって、今の自分たちでやる形になりました。去年の6年生が4人しかいなかったんですけど、彼らが見本を見せてくれていたので今年にそのまま引き継がれています」(同監督)...

【細かすぎて伝わる特ダネ❶】出場全51チームと過去の成績ほか

【細かすぎて伝わる特ダネ❶】出場全51チー...

2023.07.06

 高円宮賜杯第43回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント(以下、全日本学童)の開幕までジャスト1カ月。『学童野球メディア』は、今夏の夢舞台を事前から事後まで特報していきます。第1弾は7月2日に出そろった出場全51チームと過去の成績のほか、ご当地外ではあまり知られていない特ダネも随所に――。  (写真&文=大久保克哉) ※下の表はタップで拡大できます 「小学生の甲子園」とは  全日本学童が「小学生の甲子園」と呼ばれるのは、高校野球の夏の甲子園と同様に、都道府県大会を制したチームによるチャンピオンシップ大会であることが大きな理由だろう。1988年の第8回大会(静岡県開催)から、この方式となっている。  2009年の第29回大会からは、開催地が学生野球の聖地「神宮球場」のある東京都に。プロ野球ヤクルトの本拠地でもある同球場で毎年8月に開会式があり、都内の複数会場で51チーム参加の巨大トーナメントを6日間で消化する(予備日あり)。そして最後まで勝ち抜いて頂点に輝いたチームこそは「キング・オブ・キング」、全国の加盟9842の学童野球チーム(2022年度)のチャンピオンである。  47都道府県のうち、予選が困難な北の大地・北海道は出場枠が2。登録チーム数が唯一、4ケタを超える大激戦区の東京都も出場枠が2。北海道は北と南に分かれての予選で各出場チームを決する。東京都は第1・第2代表に加えて「開催地枠」もあるため、予選の都大会上位3チームが出場している(2009年から)。 【⇩東京大会リポートは→こちら】 優勝経験組は4チーム  2001年の第21回大会からは「前年度優勝枠」も設けられて、現行の出場51チームに。昨夏に5年ぶり3回目の出場で初優勝を遂げた中条ブルーインパルス(石川)が、今年は予選免除で全国V2へと向かう。選手主体の普段着野球を実践する倉知幸生監督は『学童野球メディア』の人気コーナー、監督リレートークのトップバッターも快く引き受けてくれた。  前年王者のその指揮官も親愛する“カリスマ指揮官”こと辻正人監督が率いる多賀少年野球クラブ(滋賀)は、何と6大会連続の出場。多賀の選手たちが展開する「ノー(脳)サイン野球」はもはや、夏の夢舞台の風物詩か。2018年から2連覇のほか、2大大会のもうひとつ、全国スポーツ少年団軟式野球交流大会(以降、全国スポ少交流)は2016年に初優勝と、都合3度の日本一を遂げている。 【⇧前年王者・中条ブルーインパルスの4月のレポートは→こちら】 【⇩多賀・辻監督の「監督リレートーク」は→こちら】  2大大会を通じた日本一の回数も、全日本学童の出場回数でも、多賀の上をいく「横綱」が福島の常磐軟式野球スポーツ少年団だ。創立40年目にあたる今年、保持する最多出場レコードを「23」に更新、全国スポ少交流も含めると全国出場は何と34回というオバケ記録だ。夏の2大大会をハシゴで出場した時代もあったが、現在のルールはダブル出場不可となっている。  1973年に選手8人でスタートした常磐。その8人の一人(当時4年生)だった天井正之監督は、6年時にチーム初の全国出場(全国スポ少交流)を果たす。中大卒業後に古巣のコーチを経て2000年から監督となり、2002年と05年に全日本学童で準優勝、07年には全国スポ少交流で優勝。家庭の事情で5年間は現場を離れた後、2015年に指揮官に復帰しており、節目の年でもある今夏はチームとして2010年以来の全日本学童制覇へ向かう。 【⇧常磐・天井監督の「監督リレートーク」は→こちら】  北ナニワハヤテタイガース(兵庫)は1988年に初優勝(全国スポ少交流もV)。お隣の大阪・新家スターズは2015年と19年に全国スポ少交流を制しており、全日本学童は出場2回目の昨夏、4強まで進出している。 千代松剛史監督率いる新家スターズ(大阪)は2015年の全国スポ少交流の決勝で多賀(滋賀)を破り、初の日本一に輝いている。写真は当時  茨城の茎崎ファイターズは2017年に、愛知の北名古屋ドリームスは21年に準優勝。東京第1代表のレッドサンズは昨夏8強入り、第2代表の不動パイレーツは19年に4強入りと、近年は開催地・東京勢の躍進も際立ってきた。 九州勢が彩り豊かに  予選の至難さもあって例年、半数以上が初出場。これも2大大会の特色だが、今年の全日本学童は初出場組が昨年より6チーム減の25。昨年は全8県が初出場だった九州勢だが、今年は彩りが豊かだ。  宮崎と沖縄の2チームは1年前の初戦敗退の借りを返すべく、2年連続で神宮へ。福岡の光友ヴィクトリーは今大会で唯一、1981年の第1回大会(16チームで東京開催)を知る老舗で、2011年以来3回目となる今夏は全国初白星なるか。鹿児島の川内サンダースは1980年代から2020年代まで、10年刻みの全年代で全日本学童出場と安定しており、86年には準優勝の実績もある。 沖縄・大里シャークスは昨夏、初戦(2回戦)で1点差負け。「持っている力を出せないまま終わってしまったよ」と宮城政一監督は嘆いたが、今夏はその分も!  長崎の波佐見鴻ノ巣少年野球クラブは、熱い学生野球ファンには知られているだろう。2011年に全国スポ少交流で初優勝したメンバーが、波佐見中の軟式野球部で14年夏に全国制覇を遂げた。さらにその中の一人で、2010年から指揮する村川和法監督の三男・大介さんは、波佐見高で3年夏に甲子園出場、西日本工大では4年春に大学選手権に出場。こうして小・中・高・大と全国舞台でプレーした大介さんは、小柄ながら50m走6.0秒を誇る左の巧打者で、ドラフト候補にも挙がった。すでに引退して社会の一員となり、一児の父にもなっているというから、ゆくゆくは父の跡を継いで古巣を率いるのかもしれない。 学童の波佐見鴻ノ巣と波佐見中で、ともに日本一に輝いた村川大介さん(中央)。写真は2014年夏、横浜スタジアムで中学日本一に輝いたときの一枚で、左が父・和法監督(学童)で右が母  佐賀の川副少年野球は1999年以来、24年ぶりの出場。それを超える今大会の最長ブランクは、四国の藍住南タイガーススポーツ少年団(徳島)で1985年以来、実に38年ぶりの出場となる(全国スポ少交流は90年に出場)。...